最近主に熱帯魚日記。


by borzoi_w
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

モロッコ水晶の謎 (有栖川有栖)

 意外な事に、私がここで有栖川氏の著作を語った事ってないんですねえ。ていうか、間が空いていたのだから当然です。前回の短編集「スイス時計の謎」から二年近くたって…たのね。
 有栖川有栖がいなかったら、私はミステリをここまでは(それでもミステリ好きというほどには読んでいないのだろうけど)読んでいなかった、と断言出来ます。最初に読んだ国産新本格ミステリが京極夏彦だったり森博嗣だったりしたら……挫折していたかもしれない。
 というわけで、やっと火村とアリスをこのカテゴリに加えられる日を迎えました。

 短編集、というより短め中編集、というべき内容でしたね。初期の頃の国名シリーズは、どこから読んでも大丈夫、といったものでしたが、どうも「白い兎が逃げる」あたりから「シリーズをちゃんと追っていたほうが楽しめる」的な要素が多くなってきていたと思うのですけど。
 今回……あれは新キャラクターなんですかね、因幡さん。ついに火村とアリスに追っかけ(とはちょっと違うかな)がついちゃいました。
 ……じつに考えれば当たり前な展開ですが、それでいっそうアリスが神経を使うようになっていきそーなのが……女性ファンを煽るんだってーの。

 ……なんなの、有栖川(本物)有栖。いつだったか雑誌のインタビューでは「探偵は謎を解く道具でしかない」みたいな態度だったのに「意識してキャラクターを描いているつもりはない」みたいな!!
 いいですけどね。ちなみにお話的には楽しく読めましたけど、やはりマイベスト短編は「スイス時計の謎」から動かないようです。
 私は読み手としては半端者でして、もちろん事件の様相が見えはしないかと目を光らせているつもりですが、気付くと「ああ、火村。あんたまたお茶目な」とかよけいなところにぶっ飛んでいたりします。
 火村はちゃんと、重要な場面で、それなりのリアクションをしています。
 だからそれを見つけたら、その前後を読み直すことで、探偵の先生がどの要素に引っかかったか、ヒントを得たかわかる。いつもこの作風の丁寧さには感心するんですが……なんで……こう、どーでもいい会話や場面で、いらない盛り上がり方をするのか、私。

 話がそれましたが。
 なによりも重大事件は「ABC殺人事件」の登場人物でしょう。新キャラ因幡などこの際置いといて。
 警察・三都物語ですよ!!
 警部オールスター総出演と云ったら過言でしょうか。冒頭から「樺田警部と船曳警部が並んでいる!!」とびっくりしたのに柳井警部! あなたもですか!!
 絶叫城〜をホーフツとさせる、すっきりしない話でしたけどね。
 ちなみに「県境の川に死体が浮かんだら、両岸から『あっちに行け』と願う」というのは、我が弟ちゃんが近所で目撃したことがあるんです。こっちは埼玉県警と警視庁の睨み合いだったそうですが。憎いとか以前に、引き上げるのはたしかに、気分よくないんでしょう…。あっちいけ、あっちいけって普通に口に出して云っていたそうです。

 そんなこんなで、ただの火村とアリスファンにとっては普通におもしろく眺められる一冊でしたが。私は直球好きなんですねえ。「マレー鉄道の謎」のトレーラーハウスの密室トリックとか(なんで気付かなかったのかと、おのれの馬鹿さ加減に呆れた)、「スイス時計の謎」のような「おお〜そういえばそうだよ」みたいな単純な驚きが欲しいらしいです。

 ……ただの火村とアリススキーなので、どうでもいいといえばそーなんですが。
[PR]
by borzoi_w | 2005-03-10 10:10 | Novels